8/18の放送では、民生委員などの活動を通じて「生きづらさを抱える子どもやその家庭を支援する活動」に携わってこられた野中真理子さんのお話をお届けしました。
野中さんは、植物が好きで、街に緑を増やすお仕事もされています。そんな野中さんのお話を聞いていたら、以前、無農薬で花と野菜を生産している農家さんを訪ねたことを思い出しました。
その方は、農業の傍ら、里山を子ども達のために開放するという活動もされていました。その中で、悩みを抱えて学校に行けなくなってしまった子が、里山で一日を過ごすと、まるで何事もなかったように学校へ戻っていくという話をされていたのです。
自然の中で過ごしていると、不思議と自分の中に答えが見つかります。生きる力が湧いてくるのを感じます。何もなくても幸せを感じます。
そんな風に、教育も、子育てもおおらかな気持ちで、子ども達をあたたかく見守ることができたらいいですね。
野中真理子さんのお話をまとめました。
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子どもたちの教育について思うこと
親子の関係性、それは一番小さな、子どもにとっては初めての人間関係の場であり、最も大切な経験です。
私はこれまで大変微力ながらお役をいただき、民生委員主任児童委員として生きづらさを抱える子どもやその家庭を支援する活動に参加させていただきました。
ある親は、子どもを愛し、子育てを熱心に取り組みながらも、思い通りの成長が期待できず、どうしてうちの子はと嘆いていました。また、ある親は、自分自身が全く親からの愛を受けずに育った結果、どう付き合って良いかをわからずに子どもの成長に関わろうとしなかったり……。それから、それから、、、挙げればキリがありません。
同じ家庭環境でも、兄弟姉妹では反応が違うので、それはもう様々な種類の生き辛さを見てきました。そしてそれは似たようなケースであっても、一つとして重なるものは決してありませんでした。
ただ、もし共通項を見出すとすれば、SOSを発信している子どもたちの周りの大人が変われば子どもは変われるのではないかということです。
親世代を孤立させないことというのは、皆さんよくわかっていることだと思います。しかし、現実はこれがとても難しいことなのです。子どもへの声かけはしやすいですが、親世代にはなかなかつながれない。子どもに対する本当の気持ちをよく見つめて、子どもの育ちの評価が、自分への評価だと重ねてしまわないように、そのことで子どもを余計傷つけることがないように、こうしたことに気付けば、子育てがもっと楽になるはずです。
子どもたちには、その子自身の未来と人生があるということをわかってもらう活動です。
又同時に、親であっても不完全で、今も迷いながら親をやっているということを子どもたちに知ってもらうことも大切です。
植物は、よく特性を知って、その環境を用意してあげれば、少々の虫食いがあっても肥料がなくても、逞しく育ち子孫を残し繁栄します。人の子もまた、よく観察してその子がどんな場面で生き生きするのか、何が好きか、優しく見守ってあげられる大人がいれば豊かに成長するはずです。
良かれと思って手を取り足を取り、やらせたところで、子どもたちは大人の価値観の中で点数を稼ぐ賢いロボットに育ってしまいます。子どもに対して大人の顔色を見ないでいいよ、好きなようにやってごらんと言える大人が沢山増えてほしいと思います。
もう一つ、最近よく耳にする子どもの貧困についてですが、貧困は、周りと比べるから起こる自尊心の裏返しです。
比べないということの本質をもっと真剣に考えてみたいものです。幸せを実感できるところにはお金の多寡は関係がありませんよね。世界中の人たちを見る時、物質の豊かさを持ち合わせていたなら全員が幸せなのかというとそうではないでしょう。明白な真実を知っているのに、子どもたちに「たくさんのお金が稼げることが幸せ」という嘘を説く大人がなんと多いことか。
幸せの形が一つではないことや、そこへつながる道のりもたくさんの紆余曲折があればこそ、時間がかかってもそれなりの意味があること、経験が学びとして必要があったことなどを大切に伝えていきたいと思います。子どもたちの可能性を大人が潰してしまわない社会でありたいですね。